その低く、渋い美声で、私たちを虜にする声優・津田健次郎さん。アニメ『呪術廻戦』の七海建人やドラマ『最愛』での名演も記憶に新しく、50代で迎えた大ブレイクはとどまるところを知りません。
そんな「ツダケン」さんですが、ネット上でまことしやかに囁かれている一つの噂があります。それは、「大人気アニメ『鬼滅の刃』に出演している」というもの。
あなたも、「遊郭編」に登場した上弦の鬼・妓夫太郎の声を聞いて、「これ、ツダケンさんの声じゃない?」と思ったことはありませんか?
しかし結論から言うと、これは誤解です。津田さんは『鬼滅の刃』には出演していません。ではなぜ、これほど多くの人が勘違いをしてしまったのでしょうか。今回は、この誤解が生まれた背景と、ファンの熱い想いが巻き起こした現象の真相に迫ります。
「妓夫太郎の声は津田健次郎」はなぜ広まった?

誤解の始まりと、本当の声優
ネット上、特にX(旧Twitter)やYahoo!知恵袋では、今でも「妓夫太郎の声優は津田健次郎さんだと思っていた」という声が後を絶ちません。漫画を読んでいる時から、あの荒々しくも哀しいキャラクターに、津田さんの声を重ねていたファンが非常に多かったのです。
しかし、公式に発表されている通り、妓夫太郎役を見事に演じきったのは、実力派声優の逢坂良太さんです。2025年7月現在、津田さんが『鬼滅の刃』シリーズに出演したという事実はありません。
では、なぜこれほど大きな勘違いが生まれてしまったのでしょうか。その謎を解くカギは、3つのポイントに隠されていました。
【理由1】ファンの熱すぎる期待と「脳内キャスティング」

全ての始まりは、ファンの熱すぎる期待でした。
社会現象となった『鬼滅の刃』。アニメ「遊郭編」の放送が発表され、プロモーション映像で妓夫太郎の姿が映し出されると、ネット上は「キャストは誰だ!?」という予想で一色に。
その中で、圧倒的に多くの支持を集めたのが津田健次郎さんでした。
- 「妓夫太郎の荒々しさと哀愁は、ツダケンの声しかありえない!」
- 「あの掠れた低音ボイスが、上弦の鬼の怖さを完璧に表現してくれるはず」
こうしたファンの「脳内キャスティング」がXで爆発的に拡散。その熱量があまりに高かったため、いつしか「予想」が「事実」であるかのように一人歩きを始めてしまったのです。
【理由2】「ダークで渋い役=津田健次郎」という最強のイメージ

ファンの期待を後押ししたのが、津田さん自身のパブリックイメージです。2020年代に入り、『呪術廻戦』の七海建人役で人気が爆発。彼の持つクールで知的な低音ボイスは、数々のダークで魅力的なキャラクターに命を吹き込んできました。
- 海馬瀬人(『遊☆戯☆王』):威圧的なカリスマ
- ジョーカー(『炎炎ノ消防隊』):謎めいたダークヒーロー
- 尾形百之助(『ゴールデンカムイ』):冷酷非情なスナイパー
これらの役柄が持つイメージと、妓夫太郎の持つ「荒々しさ」「悲哀」「歪んだ愛情」といった要素が見事に重なったため、「妓夫太郎を演じられるのは津田健次郎しかいない」という確信にも似た思い込みが、ファンの間で広がっていきました。
【理由3】SNSの拡散力と、一部サイトの誤情報
ファンの熱い想いは、SNSという増幅装置によって、あっという間にネットの海を駆け巡りました。
さらに、一部のブログメディアなどが、このファンの予想を「出演予定」であるかのように誤って掲載してしまったことも、混乱に拍車をかけました。その結果、「津田健次郎 鬼滅の刃」と検索すると、誤った情報が上位に表示されるという状況まで生まれてしまったのです。
逢坂良太さんの名演と、ファンの嬉しい悲鳴

そして、実際に妓夫太郎役が逢坂良太さんだと発表された時、ネット上には驚きの声が上がりました。逢坂さんといえば、どちらかというと若々しく情熱的な役柄のイメージ。そのギャップに、「ツダケンだと信じてたから、すごく意外!」という反応も多く見られました。
しかし、いざ放送が始まると、逢坂さんが見せた鬼気迫る演技は圧巻の一言。その熱演は多くの称賛を浴び、最終的には誰もが納得する素晴らしいキャスティングとなりました。それでもなお、「脳内ではツダケンボイスが鳴り響いていた」という声が残るほど、ファンの期待は根深いものだったのです。
誤解が生まれるほど、愛されている証拠

結局のところ、この一連の騒動は、津田健次郎という声優がどれだけファンに愛され、絶大な信頼を置かれているかの裏返しと言えるでしょう。
「この最高のキャラクターには、最高の声優を」――そんなファンの純粋な願いが、今回のような微笑ましい誤解を生んだのです。
2025年7月現在、今後の「柱稽古編」や最終章で、津田さんが『鬼滅の刃』に出演するという公式情報はありません。しかし、上弦の壱・黒死牟など、まだ声のついていない魅力的な鬼も残っています。「いつか、ツダケンが鬼滅の世界に…」というファンの夢は、まだ終わりません。
まとめ
津田健次郎さんが『鬼滅の刃』の妓夫太郎を演じた、という情報は誤りです。本当の声優は、素晴らしい演技を見せた逢坂良太さんでした。
この誤解は、
- ファンの熱すぎる「脳内キャスティング」
- 津田さんの持つ「ダークで渋い役」というイメージ
- SNSによる情報の拡散
これらが重なって生まれた、一種の「幸せな勘違い」だったのです。
『鬼滅の刃』への出演がなくても、津田さんの魅力は色褪せることはありません。30年のキャリアを経て、50代で花開いた「ツダケン」ワールドは、これからも私たちを魅了し続けることでしょう。そして、いつか本当に鬼滅の世界で彼の声が聞ける日が来るのを、楽しみに待ちたいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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