テスラやSpaceXのCEOとして知られ、最近では第2次トランプ政権下で政府の効率化を目指す「DOGE」の事実上のトップとして、行政改革にも乗り出すなど、ますます影響力を増しているイーロン・マスク。
彼はプライベートでは、公の場に子供を連れて現れることも多いのですが、2025年2月11日、ドナルド・トランプ大統領の執務室(オーバルオフィス)を子連れで訪れた際の出来事が、世界中で大きな話題となりましたね。
特に、当時4歳だったマスクの息子が、トランプ大統領のすぐ隣で鼻をほじり、あろうことかその指を歴史ある「レゾリュート・デスク」に擦りつけた…とされる、通称「鼻くそ事件」がネットやメディアで大々的に報じられ、ついにはそのデスクが撤去される事態にまで発展した、と言われています。
この記事では、この一件の真相、マスクがなぜ子供を連れてきたのか、そして世間の反応はどうだったのか、詳しく見ていきましょう。
事件のあらまし:オーバルオフィスでの子連れ訪問と「鼻くそ事件」

ホワイトハウス訪問、その日の様子
- 日時: 2025年2月11日、場所はホワイトハウスのオーバルオフィス。
- 目的: マスクは、自身が主導するDOGEの取り組みを強化するための大統領令にトランプ大統領が署名する式典と、その後の記者会見に出席しました。連邦政府の大規模な人員削減や無駄な支出のカット(目標2兆ドル!)といった、かなり大胆な改革について話し合われました。
- 同伴者: マスクの息子で当時4歳の X Æ A-XII(エックス・エーアイ・トゥエルブ、愛称:X君)。母親はマスクの元パートナーであるアーティストのグライムスさんです。
- 当日の状況:
- マスクはX君を伴ってオーバルオフィス入り。トランプ大統領もX君を紹介し、「彼はX、素晴らしい子だよ、IQも高いんだ」と褒め称えました。
- 記者会見中、X君はマスクとトランプの間、あの有名なレゾリュート・デスクの後ろに立っていました。時には鼻をほじったり、トランプに何か囁きかけたり、床に座り込んだりと、まあ、4歳児らしい自由な振る舞いを見せていました。
- 中でも、X君が鼻をほじった後、その指をレゾリュート・デスクにこすりつけたように見える瞬間が映像で捉えられ、SNSやメディアで一気に拡散。「鼻くそ事件(BoogerGateなどとも)」として、世界中の注目を集めることになったのです。
歴史あるデスク、突然の撤去?

- 事実: 事件から約1週間後の2月19日、トランプ大統領は自身のSNS「Truth Social」で、オーバルオフィスのデスクを一時的に「C&Oデスク」(過去にジョージ・H・W・ブッシュ大統領などが使用)に交換したことを発表。「レゾリュート・デスクは軽い修復中だ」と説明しました。なぜ交換したのか、具体的な理由は明言せず、「大統領は7つのデスクから選ぶ権利がある」と述べるにとどまりました。
- メディアの憶測:
- New York Daily News、Hindustan Times、Live Mintといった海外メディアは、「X君が鼻くそをデスクに付けたことが撤去の理由では?」と推測。日本の東京スポーツも「マスク氏の息子が執務机に『鼻くそ』なすりつけ」と、かなり直接的な見出しで報じました。
- トランプ大統領は以前から「潔癖症(germophobe)」であることを公言していた(2017年の記者会見など)ため、この「鼻くそ事件」がデスク交換の引き金になったのではないか、という見方が強まったわけです。
- 公式見解と反論: 一方で、トランプ大統領やホワイトハウス側は、鼻くそ事件が直接の原因であるとは認めておらず、あくまで「定期的なメンテナンスのため」と主張しています。一部のメディアでは、デスクの交換は事件とは関係ないタイミングで行われた可能性も指摘されています。
「鼻くそ事件」の真相は?

- 映像からわかること: SNSや各種報道(E! Online、Daily Dotなど)で公開された映像やスクリーンショットを見ると、確かにX君が鼻をほじり、その指をデスクに触れるような動きをしているのが確認できます。ただし、映像の解像度や角度の問題もあり、「鼻くそを意図的に、べったりと擦りつけた」とまでは断定できません。
- 母親グライムスさんの反応: X君の母親であるグライムスさんは、この件についてX(旧Twitter)で「彼はこんな公の場に連れてくるべきじゃない」「(騒がなかっただけ)礼儀正しくて良かったけど…」とコメント。子供のプライバシーが晒されることへの懸念を示し、マスクに非公開にするよう求めたものの、法的に止めるのは難しかった、とも述べています。
- 結論としては: X君が鼻をほじり、デスクに触れた(かもしれない)のは事実のようです。しかし、「鼻くそをなすりつけた!」という報道は、少し大げさな表現の可能性もあります。とはいえ、トランプ大統領の潔癖症ぶりや、デスクが持つ歴史的な価値(1880年に英国ヴィクトリア女王から贈られた由緒あるもの)を考え合わせると、この出来事がデスク交換の「きっかけ」の一つになった可能性は十分考えられます。ただ、ホワイトハウスが公式にそれを認めることはないでしょう。
なぜマスクは子供を連れてくる?その背景

そもそも、イーロン・マスクが公の場、特に仕事関係の場に子供を連れてくるのは、今回が初めてではありません。
特にX君をテスラのイベントや選挙キャンペーンなどに同伴させる姿は、これまでも度々報じられています。
この行動の背景には何があるのでしょうか?
出生率向上への強い思い(プロナタリズム)

- マスクの信念: マスクはかねてより「世界的な出生率の低下は、人類文明にとって最大の危機だ」と主張し、2014年頃からは「子供を作ることは社会的な義務だ」とも発言しています。彼自身、12人以上の子供を持ち、代理出産や複数のパートナーとの間に子供をもうけるなど、その信念を実践しているかのようです。
- 子連れの意図: X君をオーバルオフィスという非常に公的な場に連れてきたのも、マスクのこうした「出生率を上げよう」という考えを、身をもって示すためだったのかもしれません。ニュースサイト「19thnews.org」は、「X君の登場は、マスクの家族観と出生率向上というメッセージの表れだ」と分析しています。トランプ大統領がX君を「IQが高い」と褒めたのも、プロナタリズムの文脈で「優秀な子供を増やすべき」という考えをアピールする意図があった、と見ることもできますね。
- 社会への影響: マスクは子供を公に見せることで、「子供は仕事の邪魔者ではなく、最も重要な仕事そのものだ」(Xユーザー Christine Yearginさんの言葉)と、社会に訴えかけている面もあるでしょう。しかし、こうした姿勢は、女性のキャリア形成や妊娠・出産の負担を軽視している、としてフェミニストや労働問題に関心のある層からは批判も浴びています。
子連れの頻度と文化の違い

- これまでの行動: マスクはこれまでも、X君をテスラの工場見学や選挙集会、SpaceXのイベントなどに頻繁に連れてきており、肩車している姿などがメディアによく登場しています。今回のホワイトハウス訪問も、そうした一連の行動の延長線上にあるのでしょう。
- アメリカでの子連れ文化: アメリカでは、有名人や政治家が子供を公のイベントに連れてくること自体は、それほど珍しいことではありません(オバマ元大統領が娘たちを伴って公的イベントに参加した例など)。しかし、いくらアメリカでも、大統領執務室であるオーバルオフィスでの公式な記者会見という、非常に格式高い場に、まだ4歳の幼児を同伴させるのは、かなり異例のことと言えます。
- 日本との比較: 日本では、首相官邸のような公的かつ公式な場に、仕事で訪れる人が子供を連れていく、というのはまず考えられませんよね。仕事の場ではプロフェッショナルに徹するべき、という意識が強く、マスクのような行動は「非常識だ」と受け取られる可能性が高いでしょう。
マスク個人の動機
- 「良き父親」アピール?: マスクといえば、テスラ工場での過酷な労働環境(寝袋で寝泊まりしていた話など)や、長女ビビアンさん(トランスジェンダー)への対応に見られるようなトランスフォビア的な発言などで、批判に晒されることも少なくありません。そんな中、息子のX君との仲睦まじい姿を公開することで、「人間味のある、親しみやすい父親」というイメージを打ち出したい、という計算もあるのかもしれません。
- ルール無用の姿勢: マスクは、既成概念やルールを打ち破ることで知られています(DOGEでの大胆な行革案、子供たちのユニークすぎる名前など)。今回のオーバルオフィスへの子連れ訪問も、そうした彼の「ルールなんて気にしない」という姿勢の表れ、と見ることもできます。英紙ガーディアンは、「マスクは政府の規範を軽視し、ホワイトハウスをまるで自分の遊び場のように扱っている」と、かなり批判的に報じています。
世間の反応:賛否両論!

この一件に対する世間の反応は、まさに賛否両論でした。
肯定的な反応
- 支持者たちの声:
- トランプ支持者やマスクのファンからは、「X君の行動は子供らしくて可愛い」「家族を大切にする姿勢が伝わってくる」といった好意的な声が上がりました。XユーザーのBrigitte Gabrielさんは「キュート!」とコメントしています。
- マスクのプロナタリズムに賛同する人々からは、「子供を公の場に見せることは、出生率向上への力強いメッセージだ」(前述のChristine Yearginさん)といった評価も。
- メディアの報道: 一部の保守系メディア(Yahoo Newsなど)は、「X君が登場したことで、記者会見の場が和んだ」といった、やや好意的なトーンで報じました。
批判的な反応

- 子供のプライバシー侵害への懸念:
- 母親のグライムスさんをはじめ、多くの人々が「子供を政治的なパフォーマンスの道具に使うべきではない」「子供のプライバシーは守られるべきだ」と強く批判しました(Xユーザー @RonFilipkowskiさんなど)。グライムスさんが「法的に止めようとしたが無理だった」と失望感を表明していることからも、母親としての複雑な心境がうかがえます。
- ちなみに、マスクの長女であるビビアン・ジェナ・ウィルソンさんは、2025年のTeen Vogueのインタビューで、父親マスクのことを「哀れで子供じみた男」と批判しており、家族が公に晒されることには否定的な考えを持っているようです。
- 場にふさわしくないという批判:
- 「オーバルオフィスに子供を連れてくるなんて、不真面目すぎる」「トランプ大統領も内心困惑していたのでは?」といった非難の声も多数上がりました(Xユーザー @BillKristolさん、@PalmerReportさんなど)。トランプ大統領がX君に「静かに」と促すようなジェスチャーをしたり、顔を背けたりする場面の映像が、「トランプがイライラしていた証拠だ」として拡散されました。
- 英紙ガーディアンは、「これが女性政治家だったら、決して許されなかっただろう」「マスクの特権意識の表れだ」と、ジェンダーの観点からも問題を指摘しています。
- 「鼻くそ事件」報道への疑問:
- 一部のメディア(東京スポーツ、Hindustan Timesなど)が、「X君がデスクを汚した!」とセンセーショナルに報じたことに対して、「話を盛りすぎでは?」という声も。Xユーザーの @JoHoad1さんは「マスクはバカなのか?」「子供を連れてくる日を間違えたんじゃないの?」と皮肉たっぷりに揶揄しています。
- 前述の通り、映像だけでは「意図的に汚した」と断定できないため、トランプ大統領の潔癖症ぶりが、メディアの過剰な反応を引き起こした可能性も考えられます。
この事件、どう捉える?

- 事件が意味するもの:
- この「鼻くそ事件」は、子供の他意のない行動が、イーロン・マスクという人物の特異なパブリックイメージと、トランプ大統領の潔癖なキャラクター、そしてメディアやSNSの拡散力によって、実態以上に大きく取り上げられたハプニング、と言えるでしょう。歴史的なデスクへの物理的な影響は軽微だったと思われますが、話題性は抜群でした。
- マスクの子連れ行動自体は、彼のプロナタリズムや既存の規範にとらわれない姿勢を反映していますが、子供自身の権利や、公的な場のTPOといった観点からは、やはり疑問符が付きます。
- 文化的な視点から:
- アメリカでは、子連れという行為自体は、個性や家族愛の表現としてある程度受け入れられる素地がありますが、さすがにオーバルオフィスでの振る舞いは議論を呼びました。一方、日本では、公的な場での子連れは基本的に「不適切」と見なされるため、この事件は「いかにもアメリカらしい、破天荒な出来事」として、驚きやユーモアの対象として消費された側面が強いようです。
- バランスの取れた見方:
- マスクの行動は、彼なりの信念やビジョンを体現するものかもしれませんが、子供のプライバシーや公人としての責任について、もっと慎重になる必要があるでしょう。X君の行動は4歳児としては自然なものであり、批判の矛先は、その場に連れてきたマスクの判断に向けるのが妥当かもしれません。
- トランプ大統領のデスク交換は、潔癖症やメディアの注目を意識したパフォーマンスだった可能性も否定できませんが、事件の深刻さ自体は、報道で強調されたほどではなかった、と考えるのが自然かもしれません。
まとめ:世界を騒がせた、オーバルオフィスでの小さなハプニング
イーロン・マスクが2025年2月11日、当時4歳の息子X Æ A-XII君を連れてトランプ大統領のオーバルオフィスを訪問した際、X君が鼻をほじり、その指を歴史的なレゾリュート・デスクに触れさせたとされる、通称「鼻くそ事件」が起こりました。
その後、トランプ大統領はそのデスクを一時的に交換しましたが、公式には「修復のため」と説明しており、鼻くそ事件が直接の原因かは断定されていません。
マスクが公の場に子供、特にX君を頻繁に連れてくる背景には、彼が強く主張するプロナタリズム(出生率向上主義)の実践、父親としてのイメージ戦略、そして既成概念にとらわれない彼の反規範的な姿勢があるようです。
しかし、この行動は、子供のプライバシー侵害や、公的な場にふさわしくない、といった批判も強く浴びました。
世間の反応は「子供らしくて可愛い」「不真面目だ」と賛否両論で、特に日本では「公私混同も甚だしい」という感覚から、驚きや呆れをもって受け止められたようです。
結局のところ、この「事件」は、X君の子供らしい無邪気な(あるいは、ちょっとお行儀の悪い?)行動が、イーロン・マスクという規格外の人物の振る舞いや、メディアによる面白おかしい報道、そしてSNSでの拡散力によって、世界的な話題へと発展したものと言えるでしょう。
マスクの子連れ行動は、彼の信念を象徴するパフォーマンスなのかもしれませんが、子供の福祉や公的な場での TPO をもっと考える必要がありそうです。
日本では「アメリカらしい珍事」として、ある意味ユーモラスに受け止められつつも、文化的な違いから「日本ではありえない」と感じた人が多かった、そんな出来事でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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