霜降り明星のツッコミ担当として知られる粗品さん。
鋭いワードセンスと独特の間で観客を魅了し、芸人としての地位を確立されています。
さらに、ミュージシャン、司会者、YouTuberとしてもマルチに活躍し、その唯一無二の個性と発信力で幅広いジャンルで存在感を示しています。
そんな粗品さんがYouTuberとして注目される理由の一つに、YouTubeの「スーパーチャット(スパチャ)」で得た収益を「公益社団法人日本透析医会」に全額寄付したというエピソードは特に有名です。
この行動は、彼の父親が腎臓疾患で亡くなった経験と深く関連していると言われていますが、その具体的な動機や背景は何だったのでしょうか。 常人には計り知れない彼の考えと実行力を、経緯とともに見ていきましょう。
粗品さんのYouTubeチャンネルと「スパチャ世界一」の衝撃

粗品さんは個人でYouTubeチャンネル「粗品 Official Channel」を運営しており、2025年4月時点でチャンネル登録者数は100万人を超えています。
ゲーム実況(特に人気FPS「Call of Duty」シリーズ)、ギャンブル企画、雑談配信など、多岐にわたるコンテンツで人気を博しており、特にライブ配信での「スーパーチャット(スパチャ)」による収益がしばしば話題になります。

スパチャとは、YouTubeのライブ配信中に視聴者が配信者に対して直接金銭を送ることができる、いわゆる「投げ銭」機能です。
粗品さんはこの機能を巧みに活用し、驚くほどの金額を集めてこられました。
たとえば、2024年の年間スパチャ収益ランキングで日本1位、世界3位に輝き、その額は1億円に達したと2025年1月16日のYouTube動画で報告しています。
また、累計スパチャ額は2024年5月時点で2億円を突破し、2025年1月には2億5800万円に達したとも明かしています。

彼はスパチャを送る視聴者を金額に応じて「太客(1万円以上)」「細客(1万円未満)」「カス(投げない人)」などと独特の言葉で呼び分け、配信をエンターテインメントとして盛り上げる独自のスタイルで多くのファンを惹きつけています。
過去には、2021年6月7日の配信で1日あたり180万4425円を集め、日間ランキングで世界一を記録するなど、スパチャでの成功ぶりはまさに桁違いと言えるでしょう。
スパチャ寄付の公表:「日本透析医会」への全額寄付

これほど莫大なスパチャ収益を上げる粗品さんですが、その収益を寄付する意向を初めて公にしたのは、2020年7月5日のX(旧Twitter)でのツイートでした。
「昨日からYouTubeのCoD生配信で、スパチャを導入したんですが、スパチャでの収益は全額公益社団法人日本透析医会に寄付します、昨日頂いた分もです!」
と発表。
続けて、広告収入については「パチンコパチスロ競馬競艇競輪に瞬溶け」と、彼らしいユーモアを添えていました。
この突然のスパチャ寄付宣言はネット上で大きな反響を呼び、「器の大きさに感動」「男前すぎる」といった称賛の声が多数寄せられました。

その後も寄付は継続されたようで、2021年6月9日にはスパチャ額が日間ランキングで世界一になった際にも、「日本透析医会に寄付します」と改めて表明しています。
初期の配信では、動画の概要欄に寄付先を明記するなど、透明性を保つように努めていたようです。
しかし、この寄付活動は永続的なものではありませんでした。
2024年5月9日の動画で「(寄付は)今はもうしてない。ぜ~んぶ競馬で消えてるから」と発言し、現在は寄付を終了していることを明かしました。
つまり、スパチャ寄付は2020年から数年間に限定された取り組みであったことがうかがえます。
寄付の動機:父親の腎臓疾患と「透析」への思い

粗品さんが数ある団体の中から「公益社団法人日本透析医会」を寄付先に選んだ背景には、亡くなられたお父親の闘病経験が深く関わっているようです。
彼のお父親は腎臓の疾患を患い、長年にわたり人工透析を受けながら闘病生活を送られていました。
2020年7月6日のライブ配信で粗品さん自身が、「父ちゃんが透析してたんですよね。透析してる期間は地獄やったから。他人の僕でもとても辛いんですよ透析って」「透析界隈、もっと進歩して欲しい」と語り、父親の苦しみを間近で見ていた辛い経験が、寄付の直接的な動機であると明かしています。
お父親の具体的な死因は公表されていませんが、腎臓疾患が大きく影響したと考えられています。
粗品さんは、実家である焼肉店「味希」を営むお母様を支えたいという思いも強く、芸人としての成功を目指す上で、お父親の闘病と死は彼の人生観に大きな影響を与えたようです。
2020年7月9日のニュース記事では、「父親をずっと間近で見て胸を痛めていたため、『透析医療がもっと進歩してほしい』という思いから寄付を決めた」と報じられており、この個人的な経験が彼の行動の原動力であったことは間違いないでしょう。
寄付の経緯と変化:善意からギャンブルへ?

粗品さんのスパチャ寄付は、2020年のスパチャ機能導入時から数年間は続いたようです。
例えば、前述の2021年6月のスパチャ世界一達成時や、2023年5月に累計額が1億円を突破した際にも、寄付を継続していたと考えられます。
ファンからは「母親が透析患者だったから感激した」「粗品さんを通して寄付することに意味がある」といった支持の声も上がり、彼の行動は透析患者やその家族にとっても、少なからず希望を与えるものであったことでしょう。
しかし、2024年に入ってから、その方針に変化が見られます。
2024年5月9日の動画で「もうしてない! してるときは概要欄に書いてたんですけど、もうしてないですから。ぜ~んぶ競馬で消えてるから。JRAに“寄付”して、経済回してます」と語りました。
ギャンブル好きで知られる粗品さんらしいユーモアを交えた発言ですが、寄付を終了した明確な理由は語られていません。
考えられる背景として、以下の点が挙げられるでしょう。
- 経済的な状況の変化: 粗品さんはギャンブルで年間1億円以上負けていると公言し、吉本興業に1000万円以上の借金があることも明かしています。スパチャ収益もYouTubeや所属事務所への手数料で受け取り額が半分以下になると言われる中で、寄付を継続する経済的な余裕がなくなった可能性も考えられます。
- 目的の達成感: 初期の寄付によって、透析医療への貢献という目的をある程度果たしたと感じ、一区切りをつけたのかもしれません。
- ライフスタイルの変化: 離婚(2023年4月)や多忙を極める芸能活動の中で、物事の優先順位が変わった可能性もあります。
2024年1月には、競馬で当てた2400万円を能登半島地震の復興支援に寄付したものの、その直後に再び競馬で大敗し借金1000万円を抱えるなど、彼の金銭感覚や行動は予測不能な面があります。
粗品の考えと実行力:常人を超える行動原理

粗品さんのスパチャ寄付という行動を支えた動機と、それを可能にした実行力を分析すると、以下の特徴が見えてきます。
- 感情と行動の直結: 父親の闘病という極めて個人的な、そして辛い経験を、透析医療の進歩を願う社会貢献へと昇華させる感性を持っていると言えるでしょう。彼は「透析の辛さを知っているから」と率直に語り、自身の強い感情を行動に移す力があるようです。
- 大胆な決断力と実行力: 莫大な金額になるスパチャ収益を、ためらうことなく「全額寄付する」と決断し実行に移す大胆さは、経済的なリスクを度外視した、彼の特徴的な部分と言えます。2020年当時、YouTuberとしての収入基盤が確立されつつあった段階でのこの選択は、なかなか真似できることではありません。
- エンターテインメントとの融合: 寄付という善意の行動を公表しつつも、「広告収入はギャンブルに使う」といったユーモアを織り交ぜ、視聴者を楽しませることを忘れない姿勢。彼の行動は単なる慈善活動ではなく、エンターテイナーとしての魅力を高める要素にもなっています。
- 一貫性のなさ(?)も魅力: 寄付をやめて競馬に使うという方針転換も、彼の破天荒で予測不能なキャラクターにはある意味合致しています。この危うさや正直さがファンを惹きつけ、結果的にスパチャ 世界一という記録にも繋がったのかもしれません
まとめ:粗品の寄付は父親への思いと「らしさ」の結晶
粗品さんがYouTubeのスパチャ収益を「公益社団法人日本透析医会」に寄付した背景には、父親の腎臓疾患による闘病と、それに伴うご自身の辛い経験が大きな原動力となっていたようです。
2020年から数年間、彼はお父親の苦しみを胸に刻み、透析医療の進歩を願って、スパチャ収益の全額寄付を実行されました。
その行動には、個人的な経験を社会に還元しようとする強い意志と、常人離れした実行力があったのでしょう。
しかし、2024年以降はその寄付を終了し、収益をギャンブルに使うと公言する現在の姿もまた、彼らしい自由奔放さ、あるいは正直さの表れと言えるでしょう。
スパチャで世界一を達成するほどの求心力を持ちながら、深い人間性と破天荒なキャラクターを両立させているように見える粗品さん。
彼のスパチャ寄付という行動は、亡き父親への複雑な思いを起点としながらも、エンターテインメントと社会貢献、そして彼自身の個性を融合させた、唯一無二の行動原理と言えるのかもしれません。
2025年現在も、彼の予測不能な活躍から目が離せませんね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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