佐藤健さんといえば、今や誰もが知る実力派俳優。しかし、彼のキャリアの始まりが、偶然のスカウトと本人の並外れた才能が交差した、まるでドラマのような物語だったことはご存知でしょうか。
内気で真面目だった少年時代から、特撮ヒーロー、時代劇まで、若くして多彩な役柄を演じ分けた彼の原点。今回は、小さい頃のエピソードや母校での姿、伝説の電王オーディション、ギャル男やゴスロリといった気になるワードを織り交ぜながら、彼の運命的な軌跡を紐解いていきます。
生い立ちと少年時代:内気ながら文武両道だった「小さい頃」

佐藤健さんは1989年3月21日、埼玉県岩槻市(現・さいたま市岩槻区)生まれ。母、妹、祖母という女系家族のなかで育ちました。中学1年生のときに両親が離婚し、父親とは離れて暮らすように。夏休みには父の実家がある宮城県で昆虫採集をするなど、自然に親しむ少年でした。
実は小さい頃、本人の意思とは関係なく、親の思いだけで子役事務所に所属していた時期があります。雑誌モデルやCMに出演したものの、本人は乗り気ではなく、小学校高学年でその活動に終止符を打ちました。

小中学校時代は野球に夢中なスポーツ少年。さいたま市立柏陽中学校では野球部に所属する傍ら、成績は常にトップクラスという文武両道ぶり。人見知りな一面はありつつも、友人からの信頼は厚かったそうです。
高校は、県内有数の進学校である埼玉県立越谷北高等学校(母校)に進学。得意な数学や物理を活かして大学進学を目指していましたが、野球部には入らず、ブレイクダンスの世界にのめり込みます。

この頃の自身を「ぼっちでスカしていた」と語るように、少しクールで内向的な高校生活を送っていました。しかし、この時期に培われた多様な経験や身体表現力が、後の俳優人生の大きな礎となったのかもしれません。
デビューのきっかけ:原宿スカウトが変えた運命

高校2年生のゴールデンウィーク。友人と初めて訪れた原宿の竹下通りで、彼の人生は大きく動き出します。改札を出てわずか5メートルの場所で、大手芸能事務所アミューズのスカウトマンから声をかけられたのです。本人も「まるで都市伝説」と語るほどの、劇的な出会いでした。
このスカウトを機に大学進学の道を断ち、俳優として生きることを決意。2006年、17歳で深夜ドラマ『プリンセス・プリンセスD』の河野亨役で俳優デビューを飾ります。この作品は男子校の生徒が女装するというコメディで、佐藤さんがゴスロリ(ゴシックロリータ)風の衣装を着たことから、ファンの間で今も語り草になっています。

ちなみに、デビュー前にギャル男だったという事実はありませんが、トレンドの最先端である原宿でスカウトされたのは、彼の隠れたスター性が見出された証でしょう。
ブレイクの瞬間:「仮面ライダー電王」と伝説のオーディション

デビュー翌年の2007年、18歳にして『仮面ライダー電王』の主演・野上良太郎役に大抜擢。これは当時の仮面ライダー年齢として史上最年少での主演記録でした。
この役が特別だったのは、主人公に「イマジン」と呼ばれる存在が次々と憑依し、何人もの人格を演じ分ける必要があったこと。特に、荒々しい俺様口調の「モモタロス」が憑依した姿は、コミカルさとアクションを見事に両立させ、お茶の間の心を鷲掴みにしました。

この役を射止めた電王オーディションは、もはや伝説。プロデューサーが「天才」と絶賛したように、17歳の新人が即興で完璧に複数人格を演じ分けた姿が、審査員に衝撃を与えたのです。この作品で一気に知名度を上げた佐藤さんは、特撮ファンのみならず、幅広い層から支持される存在となりました。
スターダムへ:『ROOKIES』から『龍馬伝』への飛躍

『電王』の熱が冷めやらぬ2008年、19歳でドラマ『ROOKIES』に出演(ルーキーズ 年齢)。ドレッドヘアが印象的なクールな問題児・岡田優也役を好演し、若手実力派俳優としての地位を確固たるものにします。

さらに2009年、20歳になると、佐々木希さんと共演したロッテのガム「Fit’s」のCMが大ヒット。「かむんとフニャン♪」というフレーズとユニークなダンスは社会現象にまでなり、彼の顔と名前は全国区になりました。

そして2010年、21歳でNHK大河ドラマ『龍馬伝』の岡田以蔵役に挑戦。 “人斬り以蔵” の純粋さと狂気を見事に演じきり、主演の福山雅治さんにも引けを取らない強烈なインパクトを残しました。
まとめ:運と実力で駆け上がったスターへの道
デビューからわずか4年。特撮ヒーローから不良高校生、悲劇の剣士、そしてコミカルなCMキャラクターまで。佐藤健さんは、まるでカメレオンのように全く異なる顔を見せ、あっという間にスターダムを駆け上がりました。
原宿での運命的なスカウト、そして「天才」と言わしめたオーディション。その幸運を確かな実力で掴み取ったからこそ、今の彼がいます。内気だった少年が、数々の代表作を生み出すまでの“はじまりの物語”。それは、彼の持つ知性と魅力が凝縮された、圧巻の軌跡なのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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