サカナクションのボーカリスト兼ギタリスト、山口一郎さん。
エレクトロニカとロックを融合させた独自の音楽性で、私たちに新しい世界を見せてくれる稀代のアーティストです。
近年、うつ病を公表して闘病生活を赤裸々に語る姿が話題になりましたが、実は彼が抱えている病はそれだけではありません。
検索キーワードにある「幼少期からの病」とは一体何なのか。そして、音楽家にとって致命的ともいえる「耳の病気」との関係は?
今回は、山口さんが長年向き合ってきた「群発頭痛」と「突発性難聴」について、ご本人の言葉や最新の報道をもとに詳しくまとめました。
小学生時代から続く地獄の痛み「群発頭痛」

山口さんが抱える病気のひとつ、そして「幼少期からの病」として報じられているのが「群発頭痛(ぐんぱつせいずつう)」です。
これは「世界三大激痛」のひとつとも言われるほど凄まじい痛みを伴う病気。
片側の目の奥やこめかみを、キリでえぐられるような、あるいは「小人が目の裏から針で突いてくるような」耐え難い激痛が襲います。一度発作が始まると、それが1日に何度も、数週間から数ヶ月にわたって毎日続く「群発期」を繰り返すのが特徴です。
山口さんの発症は、なんと小学生の頃まで遡ります。
鬼ごっこで全速力で走った後、突然右目の奥が心臓の鼓動に合わせてズキンズキンと痛み出し、鉄棒の陰で吐いてしまったそうです。

当時は原因がわからず、ただひたすら痛みに耐えるしかありませんでした。上京後にようやく専門医に出会い、正式に診断がついたといいます。
2024年11月にも、数年ぶりの群発期に入ったことを報告。「あまりにも残酷」と心境を吐露しており、今もなお、この孤独な闘いは続いています。
薬(くすり)が入手困難?治療の現状

群発頭痛の治療薬としては、「イミグラン(スマトリプタン)」という点鼻薬が知られています。山口さんもこれを使用していたようですが、2024年11月の時点では出荷停止の影響で入手困難な状況にあると報じられていました。
特効薬が手に入らない恐怖は計り知れません。
素晴らしい医師と相談しながら様々な対処法を探っているそうですが、痛み止めが効かないほどの激痛に襲われる日もあるといいます。
音楽制作においても、この時期はどうしてもペースを落とさざるを得ません。ラジオ番組などでその苦しみを共有し、周囲の理解を求めている姿からは、病気と共存することの難しさが伝わってきます。
2010年に発症した「突発性難聴」と右耳の聴力

もうひとつ、山口さんを語る上で避けて通れないのが「突発性難聴」です。
ネット上の噂では「幼少期から」と混同されがちですが、こちらは大人になってから、具体的には2010年の春に発症したものです。
ある日突然、激しいめまいと耳鳴りに襲われ、右耳がほとんど聞こえなくなってしまいました。
当時はツアー直前というタイミング。医師からはすぐに入院するよう勧められましたが、責任感の強さからかライブを強行してしまったそうです。その結果、病状が悪化し、右耳の聴力を失うことになってしまいました。
現在も右耳は「低い音がわずかに聞こえるかどうか」という状態で、細かい音のチェックなどは自分ひとりでは難しく、バンドメンバーに頼る場面も増えたといいます。
早期にステロイド治療などを受ければ回復の可能性もあった病気だけに、悔やまれる部分もあったかもしれません。しかし、この経験がサカナクションの音楽制作スタイルを変え、メンバーとの結束を強めるきっかけにもなりました。
まとめ:病気が深めた音楽の表現
山口一郎さんが抱える二つの大きな病気について整理しました。
- 群発頭痛: 小学生時代(幼少期)から続く持病。目の奥をえぐるような激痛が周期的に襲う。
- 突発性難聴: 2010年(成人後)に発症。右耳(片耳)の聴力を失い、音楽活動に大きな影響を与えた。
- 治療の現状: 群発頭痛の特効薬が入手困難な時期もあり、医師と相談しながら闘病中。
うつ病に加え、こうした身体的な苦痛とも向き合いながら、彼はステージに立ち続けています。
「痛み」や「喪失」を知っているからこそ紡ぎ出せる言葉やメロディがあるのかもしれません。
ファンとしてできることは、彼の体調を気遣いながら、その活動を温かく見守ることでしょう。病気さえも表現の一部に変えていく彼の音楽は、これからも多くの人の心に寄り添い続けるはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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