「余の顔を見忘れたか!」の名台詞でおなじみ、『暴れん坊将軍』の徳川吉宗。そして「マツケンサンバII」で日本中を踊らせるエンターテイナー。松平健さんといえば、まさに正義のヒーローであり、みんなを笑顔にする太陽のような存在ですよね。
しかし、そんな彼に、将軍になる前の「知られざる顔」があったことをご存知でしょうか。
舞台は、昭和を代表する大人気刑事ドラマ『太陽にほえろ!』。なんと松平健さんは、この国民的番組で、吉宗とは真逆の「犯人役」を演じていたのです。
「あのマツケンが犯人!?」
「そんな伝説回があったなんて!」
SNSでもたびたび話題になる、この意外すぎるエピソード。今回は、若き日の松平健さんが見せた、荒削りながらも情熱的な「もう一つの顔」に迫ります。
舞台は『太陽にほえろ!』- 伝説の第81話「おやじバンザイ!」

松平健さんが出演したのは、1974年2月1日に放送された第81話「おやじバンザイ!」。
当時の『太陽にほえろ!』といえば、萩原健一さんのマカロニ刑事に続き、松田優作さん演じるジーパン刑事が登場し、人気が爆発していた頃。アクションと青春ドラマの要素が融合し、若者たちが熱狂した、まさに番組の黄金期でした。
そんな熱気あふれる回で松平さんが演じたのが、殺人犯・小野常夫。
その役どころは、「かっとなると見境がなくなる」という、短気で衝動的な若者。喧嘩の勢いで相手を射殺し、追ってくる刑事たちを前にガソリンをかぶって「一緒に死んでやる!」と叫ぶ、非常に破滅的なキャラクターです。

冷静沈着な吉宗とは180度違う、感情むき出しの犯人役。この強烈なギャップこそ、このエピソードが「伝説」と呼ばれる理由なのです。
なぜ犯人役に?若き日の松平健と出演の裏側

当時20歳だった松平健さんは、まだ無名の若手俳優。一体なぜ、この大役を掴むことができたのでしょうか。そこには、下積み時代の苦労と、ちょっとした「裏話」がありました。
1970年、俳優を夢見て16歳で単身上京した松平さん。憧れの石原プロの門を叩くも願いは叶わず、養成所や劇団で経験を積む日々。その後、あの大スター・勝新太郎さんの目に留まり、付き人をしながら役者としての道を歩み始めます。
実は、松平さんは最初から犯人役を狙っていたわけではありませんでした。なんと『太陽にほえろ!』の新人刑事役のオーディションを受けていたのです。結果的にその役は逃してしまいましたが、彼の持つギラギラした若さや荒々しい情熱が監督の目に留まり、「犯人役としてなら」とゲスト出演のチャンスを掴んだと言われています。

人気絶頂の番組で、たとえ犯人役でも爪痕を残したい。そんな若き日の野心とエネルギーが、鬼気迫る小野常夫というキャラクターを生み出したのかもしれません。
語り継がれる熱演 – 将軍になる前の輝き

この回で松平健さんは、松田優作さん演じるジーパン刑事や、下川辰平さん演じるベテランの長さんと対峙します。大先輩たちを相手に一歩も引かず、感情を爆発させるその演技は、短い出番ながら視聴者に鮮烈な印象を残しました。
SNSでこの回が話題になるたびに、
「マツケンにもこんな尖ってた時代があったんだ!」
「後の将軍様が犯人役なんて、昔のドラマは面白いなぁ」
といった驚きと称賛の声が上がります。
この犯人役の経験は、単なる下積み時代の一コマではありません。正義のヒーローだけでなく、人間の持つ弱さや激しさも表現できるという、俳優・松平健の「幅」を証明する重要な一歩となったのです。
まとめ:犯人役があったからこそ、「暴れん坊将軍」は生まれた
今や国民的スターとして、私たちに笑顔と安心感を与えてくれる松平健さん。しかしその輝かしいキャリアの原点には、『太陽にほえろ!』で演じた、衝動的で人間くさい一人の「犯人」がいました。
将軍になる前の、荒削りで情熱的なエネルギー。この意外な一面を知ることで、俳優・松平健の魅力がさらに深まるのではないでしょうか。
2025年、『新・暴れん坊将軍』として再びお茶の間に帰ってくる彼。その堂々たる姿の奥に、かつて『太陽にほえろ!』で吠えた、若き日の熱い魂を重ねてみるのも一興かもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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