サカナクションのフロントマン、山口一郎さん。
エレクトロニカとロックを融合させた音楽性で、常に時代の最先端を走る彼ですが、2025年の夏、ある意外な場所でのパフォーマンスが大きな話題になりました。
その舞台は、なんと九州・福岡にある由緒正しき「太宰府天満宮」。
しかも、自身のヒット曲「新宝島」を歌いながら、参加者と一緒に盆踊りを踊るというのです。
「え、北海道出身の山口さんがなぜ九州で?」
「神聖な神社でロックバンドの曲?」
そんな疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
今回は、SNSでも「日本でここだけ!」と絶賛されたこのイベントの様子と、なぜこのような異色のコラボが実現したのか、その裏にある宮司さんとの深い関わりについてまとめました。
「新宝島」で盆踊り?熱狂の夏祭りレポート

話題となったのは、2025年7月24日に行われた太宰府天満宮の「夏の天神まつり」です。
このお祭りのハイライトである盆踊り(夏越おどり)に、山口一郎さんが特別ゲストとして登場しました。
その姿は、粋な法被(はっぴ)をまとい、手には「怪獣の卵」を抱えるというユニークなスタイル。
会場にイントロが流れると、山口さん本人の生歌唱に合わせて、集まった老若男女が「新宝島」のリズムで踊り出したのです。

さらに、宮司さんからのリクエストに応える形で、2025年2月にリリースされた新曲「怪獣」も熱唱。
伝統的な神社の境内に、現代のポップソングと盆踊りの輪が広がる光景は、まさに圧巻。SNS上では「最高の夏祭り!」「本人の生歌で踊れるなんて贅沢すぎる」といった興奮の声があふれました。
山口さん自身もX(旧Twitter)で「来年も来る」と予告しており、もはやこのお祭りの名物となりつつあるようです。
なぜ太宰府天満宮?伝統と現代をつなぐ「アートプログラム」

それにしても、創建から1100年以上の歴史を持つ太宰府天満宮が、なぜ現代アーティストの楽曲を盆踊りに採用したのでしょうか?
その理由は、神社が長年取り組んでいる「地域活性化」と「文化継承」への熱い想いにあります。
太宰府天満宮では2006年から「太宰府天満宮アートプログラム」を展開しており、アーティストを招いて、神社の歴史や風土からインスピレーションを受けた作品制作を行ってきました。

「文化は繰り返し体験してこそ、記憶に残る」
そんな哲学のもと、マイケル・ジャクソンの曲で盆踊りを踊るなど、以前から柔軟な発想を取り入れてきたそうです。
今回の山口さんとのコラボも、単なるイベントではなく、若者や子供たちに神社の魅力を伝え、伝統を未来へつなぐための「種まき」なんですね。
キーマンは「宮司」!山口一郎さんとの意外な接点

ここで気になるのが、「なぜ北海道出身の山口一郎さんだったのか」という点です。
実は、ここには太宰府天満宮の宮司・西高辻信宏(にしたかつじ のぶひろ)さんの存在が大きく関わっています。
2019年に就任された西高辻宮司は、美術史と神道を学んだ経歴を持ち、アートを通じた文化継承に非常に力を入れている方です。
山口さんとは2010年代後半から交流があり、実は盆踊り以前から深い関わりがありました。
- 神社のガイドショップBGM: 山口さんが環境音を活用して作曲。
- 仮殿のサウンドディレクション: 本殿の大修復に伴う仮殿(2026年完成予定の本殿まで使用)の音響を監修。

つまり、ポッと出のゲストではなく、神社のプロジェクトに深く関わるパートナーだったのです。
今回の盆踊りでも、宮司自らが和太鼓を叩いて盛り上げたり、「怪獣」の歌唱をリクエストしたりと、二人の信頼関係が垣間見えました。
「北海道出身だから」「地元じゃないから」という枠を超え、宮司のアートへの理解と、山口さんの音楽性が響き合った結果、この素晴らしいコラボが生まれたと言えるでしょう。
まとめ:伝統は「守る」だけでなく「進化」する
今回の太宰府天満宮での出来事は、私たちに新しい伝統のあり方を見せてくれました。
- イベント: 本人歌唱による「新宝島」盆踊りが大盛況。
- 背景: 神社のアートプログラムの一環として、現代文化を積極的に導入。
- 理由: 宮司と山口さんの長年の信頼関係と、アートプロジェクトでの協働実績。
「新宝島」の歌詞にある「丁寧」や「誠実」といったイメージは、学問の神様である菅原道真公にも通じるものがあるかもしれません。
2026年の本殿完成に向けて、この二人のタッグが次にどんな景色を見せてくれるのか、今から楽しみですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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